カラスミが食べたい

料理

 高級珍味のカラスミを作って食べることにします。
 カラスミなんて、正月のおせちの中に少しあったり、何かの機会で高級なご飯を食べるときに一切れ二切れ出てきて、食べてみると「なんかしょっぱくて独特だなぁ。うまいかぁ?」という感想でした。ところが、1年ほど前に魚屋の友人が自家製の大きなカラスミを一腹をくれて、家族のだれも反応しないもんだから、独り占めして食べたんですが、イヤ~うまいね。大根で挟んだり、パスタに入れたり、小さく切ったのでちびりちびりと酒を飲んだりとで食べたんですが、コレ、たまらなく好きになりました。

新鮮な卵は黄金色。

 そこで、今年は、その友人からボラの子を購入して自分で作ってみることにしました。
 こちらのボラの子のシーズンは12月の半ばくらいから始まるようです。友人に、いい時期になったら頂戴って声をかけていたんですが、12月の20日過ぎに綺麗なボラの子を持ってきてくれました。新鮮で臭みもなく、3腹(1腹は2房)で1キロほどのサイズです。2キロ買いました。値段は高いですよ!カラスミが高価な訳だわ。全国的に見て宮崎や長崎のボラ子は高級な扱いなんだそうです。今回のボラ子の値段は伏せときます。友人価格で購入してるので。でも、それでもいい値段。・・・・ん、ぼられてないよな。ボラだけ・・・

今回は2キロの塩を使います。

 友人に作り方を聞いてみると、まず塩漬けにするそうなのですが、塩はなんでもいいですよとのことでしたので、特にこだわりもなく、海水から作った塩を買ってきました。安かったんです。
 ボラ子を一度掃除して、たっぷりと塩をかけて10日ほど塩漬けします。

キレイに洗いましたが血抜きはしてません。

 しっかり塩漬けにしました。いや、塩に埋めました。タッパに蓋をして冷蔵庫でしばらくお休み願います。

容器は5.5ℓのタッパです。

 埋め込んでから10日経ちました。
塩漬けもそろそろいいでしょう。出してみます。
水分が抜けてカチカチに硬くなりました。いい感じだと思います。

カッチカチになりました。

 さて、これからが肝心の塩抜きです。初めてのことですので、いい頃合いがわかりませんが、友人に聞いたり、ネットで調べてみると、2日ほど水や酒に漬けて塩抜きしてみて、中心に少し芯が残っているくらいが頃合いとのことです。私もその辺を狙っていくことにします。塩抜きには清酒を使うことにしました。焼酎がいいかもしれないと迷ったんですが、今回は清酒でいってみます。

酒にしっかり浸かりました。2日ほど浸して様子を見てみます。しばしの酒風呂でのぼせてもらいます。

 ↓2日経ってみてみると、だいぶ酒を含んで膨らんでいます。触って確認してみると芯が少し残るような状態です。漬け込んでいた酒の方の味見をしてみると、程よい塩分で何ともいい味になっています。うん、塩抜きはOKでしょうかね。

塩抜きの酒を捨てるには忍びない・・・。しかし飲むには・・・

 これからは干し方です。家の軒下で干していきます。10日ほどの干しを予定しております。
完成まではまだまだ長いですね。

干すためにやぐらを組みました。

 それでは、きれいに並べて「干し方始め!」です。一日に一度は焼酎を吹き付けてお世話をして干さなければなりません。干している場所が軒下なので、陰干しになりますし、雨が降っても安心なのはいいところです。

干し網のサイズがピッタリでした。

 干し始めて2日経ちました。表面が乾いてきてだいぶべとつかなくなりましたが、まだまだ生の感じです。いい香りがします。

二日目

 干し始めから4日目です。だいぶ乾燥が進みました。色も濃いあめ色へと変化しつつあります。持ってみてもくたりと曲がらなくなりました。だいぶカラスミ化してきました。

四日目

 朝から日陰で干したら、夕方には取り込んでタッパーに入れて休ませています。こうすると、密閉容器の中で、カラスミの乾燥が進んだところとまだ生っぽいところの均一化が出来て、朝にまた干すときには全体がしっとりした感じになっています。手間はかかりますが、こうした方がいいと思ってやっています。

タッパの中で休憩中

 6日目になりました。程よく硬くなり、気持ち透明感が出てきました。半生で食べるならもういいかもしれませんね。もう少し干してみます。

表面はだいぶ硬いですが、芯に少し柔らかさを感じます。もう少しでしょうか。

 毎朝、並べたカラスミに焼酎を吹きかけてお世話することが日課になっています。

表面だけ乾燥するのを防ぎます。それと消毒ですね。

 ↓干し始めてから1週間経ちました。我慢ならず、一房を試しで食べることにしました。切ってみると、若干真ん中に柔らかいところを感じる程度の干し具合です。表面はやや硬く、しっとりねっとりとした感じですね。硬さにコントラストがあります。

干して7日目のもの。

 試食は定番の大根とのデュエットで挑むことにしました。

画像で見ると柿みたい。

 食べました。ナニコレ、ヤバいね。もちろんいい方にです。このカラスミは、少し硬さを残し、前歯の裏にこびりつくねっとりとした具合で濃厚な魚卵の旨み。中心部にまだ少し卵の粒の触感があります。変な臭みも一切なし。一緒に食べる大根の水分が、濃い味を広げてなお旨みが強くなります。あー、コレ痛風出るね。カラスミと大根を一緒に喰おうって思いついた人、偉いわ。

なるほど、1週間ぐらいの干しだとこんな感じか。うん!わかりましたぞ。

 残りはまだ干すことにします。当初の予定通り10日干したものも作ります。
↓そして10日の干しが終わりました。全体的に硬くなって、あめ色になりました。硬くてしっかりずっしりとした重みがあります。

始めの頃に比べると水分が抜けてだいぶ小さくなりました。

 出来たカラスミの6腹分の内、2腹分は燻製してみようと思います。きっといい感じになると思います。タマゴと煙の相性はいいですからね。1時間ほど熱はかけずに煙だけかけます。冷燻です。煙をかけたものとかけなかったものの外観の差はありませんが、香りですぐにわかります。好き嫌いはあるかもしれませんね。

 ついに完成しました。塩漬けから完成まで23日。長かったです。でも、もうカラスミのお世話をしなくなると思うと少し寂しい感じもあります。
 あとは食べるだけです。さて、どうやって食べましょうかね。

硬くなりました。

 完成したものを切ってみました。7日干しのモノより水分が抜けてよりきめ細かい感じです。
チョット味見してみましたが、こちらの方が、ねっとりと濃厚な味です。7日干しはこれと比べると魚卵の感が少し残っている感じですね。10日干しウマし!私はこっちが好きかなぁ。

魚卵の粒粒感は無し。ねっとり魚卵羊羹状態

 さて、食べます。大根と挟む食べ方は、やっぱりうまい!間違いありません。10日干しは、より濃厚な味がたまりませんね。燻製の方は、濃厚なうまみに煙の風味がプラスされて何とも言えないいい後味。私はこっちの方が好きですね。
 私の好みランキングは1位は燻製カラスミ。2位は10日干しカラスミ。3位は7日干しカラスミの順になりました。あくまでも私の好みです。でも、初めて食べた7日干しが一番感動しましたね。

燻製カラスミ
ビールも合うね。

 ご飯とも合うと思って贅沢カラスミ寿司を作りました。
 これまた旨い!ねっとりとした舌触りでイクラやタラコの味を更に濃厚にして後味にはウニを感じさせる不思議なうまさ。作っていたら娘に見つかり、食べさせたところ、うまいうまいと何個も食べていました。ヤバい、カラスミの旨さに気付いてしまったようです。ライバルが増えました。酢飯じゃなくて、塩なしおにぎりにしてもおいしかったです。カラスミの塩分でちょうどいい感じ。

痛風寿司

 パスタもしてみました。ニンニクオイルベースに少しトマトを入れて塩薄目で作ったパスタに、スライスしたカラスミをたっぷり乗っけました。カラスミの塩分でちょうどよい塩梅になり、カラスミの味が引き立って何ともおいしかったです。贅沢しました。

厚切りカラスミ

 初めてカラスミを作りましたが、いいカラスミが出来たと思います。作るのに時間はかかりますが、難しくはないですね。一番難しいのはいいボラの子を手に入れることかもしれませんね。カラスミ作りは年に1度の定例行事にしていこうかと思っています。次は、きっちりとボラ子の血抜きをして、戻しは焼酎でやってみようかと思います。また楽しみが増えました。お金かかりますけどね。
 あ~、ここ最近、足の親指の付け根に何やら違和感があります。まさか、風が吹いても痛いってやつが姿を現しつつあるんじゃなかろうな・・・まだまだカラスミ残ってるわ。

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