構造材となる土台や柱、屋根の下地となる野地板を買ってきました。10㎡の建物でこれだけ必要となります。土台や柱は3寸5分(105mm)角の杉材です。今回はグリーン材(未乾燥)を購入したので、水を含んでいて重いです。乾燥材を買うと軽くて狂いもなくていいのですが、高いんですよね。小屋ですし、少ない予算ですのでグリーン材択一です。ちなみに人工乾燥材はKD材と呼ばれます。
金額は約9万円でした。3mの柱1本が約3000円といったところです。この材にプラスして別のところで1寸5分(45mm)角の垂木も約1万円分購入(このサイズの材だけ格別に安かった。半値以下)してきたので、構造材で約10万円といったところでしょうか。これ高い?安い?
それでは木材に墨(印し)を付けていきます。墨壷と墨差しという道具を使って線を引いていきます。墨というだけあってほんとに墨です。建築用の墨ですけどね。墨壷は長い中心線を引くのに使います。墨差しはくっきりとした線が引けます。時折は水性のボールペンも使いました。ボールペンは気軽でいいのですが、木材に水分が多かったりすると線が引けないとこがありましたね。でも0.28mmのボールペンは繊細な線が引けていいですね。
そして、なくてならないのが直角定規の指金(サシガネ)です。これが無いと仕事になりませんね。墨壷はペンでも代用が効きますが、指金は変わるものがありませんね。
そして今回、「カーペンター定規」なるものを準備しました。これも非常に便利で、すぐに材の中心を取ることが出来ます。指金や定規なんかで材の幅を計って半分を出して印をつけていっても出来るんですが、これだったら1発で正確に中心が出ます。また、中心から幅30mmの線が引けるようになっているので、ほぞの線を出すときに便利です。墨付けにいろんな用途で使えます。ただコレ、もう廃番で売っていないのでヤフオクにて入手しました。
それでは、設計図のとおりに墨を付けていきます。
考えながら、確認しながらで、すべての材に墨を付けるのに約3日かかりました。
設計図が本当にあっているか、木材に付けた墨が間違っていないかを何度も確認しながらやるので時間がかかります。それでも木材を切る時になんかおかしいと思って、再確認するとやっぱり間違っていることがあるので、「マジかぁ~、もう間違ってないよなぁ」と疑心暗鬼になりながら作業するのでさらに時間がかかりますね。そして、3寸5分角の木材はなかなかに重いので取り回しにも地味に疲れます。
なんとか墨付けが終わったので刻んでいきます。切るのには主に丸鋸を使います。この丸鋸は165mmの刃を付けて使う種類ですが、105mm角の木材を切るのには表と裏から切ってもほんの少し真ん中の部分が残るので、その部分は手ノコで切らないといけません。柱を切るには190mmの丸鋸の方がよかったですね。まあ少し手間なだけで何とかなるのでいいですが、120mmの4寸角の柱だったら190の丸鋸のほうがいいでしょうね。まあ、2つ持ってるといいのですが・・・。
ほぞを作ります。丸鋸で大体を刻んだら細かいところは手ノコで切っていきます。「う~ん、大工してるわ~」という気分になってきます。手ノコでは初めのうちは切った線がヘナチョコですが、慣れてくると切った線もシュッとしてきて、上達を感じてうれしくなってきます。
ベーシックなほぞが出来ました。↓幅80mm、厚みは30mmとしています。ですが、微調整で、幅は80.5mmくらいで厚みを29mmとなるようにするとほぞ穴に入れた時に具合がよくなるのでそこを狙って作ります。微調整は、ノミとカンナを使っています。
こんな2段ほぞも使います。これは材が重なるところに使います。
↓このほぞは角(隅)になる部分に挿すときに使います。30mm角なので他のほぞと比べると少し弱い気がしますね。
ほぞ穴を開けるのにはこれまた便利な道具があります。「カクノミ」といいます。ヤフオクにて送料込みで6000円ほどで買いました。現在の家作りの建築現場ではほとんど使われなくなった(プレカットが主流のため)道具ですが、これは一つの完成形の道具ですね。中古で安く手に入れられてよかったです。
30mm角の穴を綺麗に開けてくれます。手掘りではなかなかこうはいきません。垂直に早く穴を開けてくれます。便利です。
こんな感じでほぞ穴が掘れます。底面の手直しは必要ですが、ほぞ穴を打ち抜くときには手直しは必要ありませんもんね。ただ、ほぞ穴を打ち抜くときは、表と裏から穴を掘らないと綺麗な仕上がりにはなりませんのでそこは注意が必要ですね。ただ、手ノミでの最終仕上げをおこなった方がほぞ穴の側面がなお綺麗になります。
↓少し卑猥な形ですが、この形は材を延長するときに使います。今回、材の一番長いところは約4.7mが必要なところがあるんですが、流通している木材は3mか4mなので(4m以上の材はすごく割高)、木材を延長する必要が出てきます。そんな時に木材同士を継ぐのに使う形ですね。腰掛鎌継(こしかけかまつぎ)といいます。これはそのオス側です。
↓こちらは腰掛鎌継のメス側です。カクノミやノミを駆使して作ります。ここにオスの部分が嵌まり込んで1本の材になります。強度もなかなかのものです。難しそうですが、やってみると出来ないことはないですね。
↓これまた少し卑猥な形のほぞですが、これは角(コーナー)に使うほぞです。このほぞは考えられていて、材のねじれ止めまで付いています。ほぞ穴に差し込んで楔を打ち込んで抜けないようにして使います。「襟輪小根ほぞ」といいます。いろんな名前がありますねぇ。
↓屋根になる部分の垂木を載せるためのほぞを刻んでいきます。屋根の角度に掘ります。
この角度もややこしそうですが、原理を覚えてしまえば簡単。3寸勾配の屋根なので材の中心から横端までの長さに0.3を掛けた長さを横面にしるして刻んでやればOKです。
火打ち梁と呼ばれる水平方向の補強を行う梁も作りました。金属で出来た安いものもあるのですが、せっかくなので木で作りました。斜めに入るパーツなので少し頭を使いましたが、√が分かってればそう難しくはありません。
火打ち梁の1辺の長さを1mと設定して作りました。
束も作りました。この頃になると、もう刻みも終盤で、「ああ、もう刻みも終わりかぁ。もう少しやりたいなぁ。」という気持ちになってきています。
構造材はほぼ刻み終えました。墨付けと刻みにかかった時間は、仕事が休みの時にやって、ほぼ2週間といったところでしょうか。
土台や土台に挿さる柱に防腐剤を塗っておきます。長持ちしてくれよとたっぷりと塗っておきました。これでシロアリもしばらくは来ないでしょう。
刻みを終えました。これから建て方に移ります。木材が結構に水を含んでいて重いので、一人じゃ厳しいかなぁ~。ヤツを呼ぶかなぁ。
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