竹で渓流ロッドを作る

竹竿作り

 渓流釣りをしますが、自分の使う竿を自分で作って釣れたらこれは楽しいぞと思い、作ってみることにしました。
 渓流用のルアーロッドを作ります。1.8~2.0mほどの竿にしたいと思います。
 ロッドのブランクとして、身近に生えている竹を選ぶことにしました。布袋竹です。
この竹は、根元がぼこぼことしています。また、断面もD型をしていますが、昔から釣り竿に使われたもので、とてもしなやかで強い竹です。南九州にはよく生えています。

 気にしながら注意して見ていると、山や河川敷など、結構どこにでも生えているのですが、これを勝手に取ると犯罪です。ご注意を。
 持ち主に一言断りを入れてから、採取させてもらいます。今回は、知り合いの裏山に生えているのを 1月の末に取りに行きました。
 竹には取り旬がありまして、だいたい、11月から2月までの寒い時期が良いとされています。この時期は、竹が水を吸い上げておらず、繊維の締まったものが取れるとされています。

 取ってきた竹は1年ほど乾かします。私は、葉っぱを残して乾かします。葉がカラカラになったら取ってしまいますが、最初は付けておいたほうが竹の乾燥が早いように思うからです。これは木材の乾燥に葉枯らしという技法の応用です。竹でも有効かはわかりませんが、たぶん・・・、ということで。

 竹は長いものを短く切って使うのではなく、作る竿のサイズと同じ長さの物を選んで取ってきます。太さも、渓流ロッドくらいの長さのものでしたら、指のサイズより細いものになります。いい竹は、これがなかなかないのです。100本に1本あるか無いかです。

 取ってきた竹はしばらくの間、日陰で乾燥させ、その後に火入れをしていきます。
 火入れとは、竹に含まれる油や水分を熱をかけて抜いていく作業です。火入れのスパンは最低でも10日ほどの日を空けて、何度か繰り返して行きます。最終的には、200度近くの熱をかけて(こげる手前)、竹の繊維を硬く強くなるように変質させていく作業になります。
 私は、1年以上は乾燥させて、5~6回火入れの作業をおこなっています。これは時間をかけるほど良いと思います。理想は3年ほどは乾燥させたいですね。焦りは禁物なのですが、早く作りたいですよね。

 下の画像は、3度ほど火入れを済ませたものです。
布袋竹は、根元のボコボコしたところが、七福神の布袋様のお腹の様に見えるところから名付けられたようです。この竹は前年に採取したもので、200本近くストックしていましたが、3回の火入れでこれだけしか残りませんでした。この中でも、良いのは10本無いと思います。竹は1本1本に個性がありますねぇ。

 下の画像の植木鉢と、木の棒は、火入れの道具と、竹を真っ直ぐにしていくための道具です。素焼きの鉢をグラインダーでカットしました。竹を真っ直ぐに矯正するための道具は「矯め木(ためぎ)」と呼ばれますが、これも玄翁(かなづち)の柄や、適当な木材を使って作りました。まあ、売ってないですもんね。
 熱源はカセットコンロを使います。

 太いところは矯め木を使いますが、細いところは軍手をして手で矯正していきます。素手ではアチイですよ。

 じっくり火入れをしながら竹を真っ直ぐにして行きます。節がありますので、真っ直ぐといっても、通り芯が真っ直ぐという意味になります。これもなかなか難しくて、ぽきんぽきんと何本も駄目にしました。こりゃあいいぞ!という竹がポキリと折れてしまったときには、カセットコンロをひっくり返そうかと思ったことが何度かありました。これも経験です。どんどんやっていくと、これ以上すると折れるなというのがだんだん分かってきます。予想外で簡単にポキンといくものは竿にはなりません。

 だんだんと自分なりに納得のいくモノが出来るようになって来ました。これは、やったほどだと思います。知識と実地は違うと思い知らされます。
 この竹、すこーし左に曲がっていますが、許容範囲かなぁ。う~ん、完璧にはまだまだなんでしょうけど・・・。
「向上心の中の妥協は次への燃料」・・・名言のように書きましたが、今テキトーに考えました。

 グリップの部分も作っていきます。布袋竹のボコボコしたところでもいいかと思っていたんですが、軽さや、加工しやすさ、手触りなどを考慮して杉材で行ってみたいと思います。

 角材からカンナを使って丸く削りだします。角ができたらそこをカンナで削ってぐりぐり回しながら削っていくことを繰り返すと丸くなります。
 テーパー(先細り)をつけたものも作りました。グリップを何本か作ってみたいと思います。

 渓流での安全を祈願して鹿の角をグリップエンドに使ってみたいと思います。鹿は険しい崖なんかもスイスイと行くのでそれにあやかって鹿の角を使うといいといわれているみたいですね。ただ、私、リアルに鹿が崖から落ちていくところを見た事がありますが・・・。
 ・・・ただもう、かっこいいので使うことにします。

 今回はここまでです。
このあとは、グリップの製作、ガイドの取り付け、塗装の予定です。
 いい竿を作って、この竿でいっぱいヤマメを釣りたいな~。たのしいだろうなぁ~。と思っています。
ヤマメをいっぱい釣って燻製にでもすっかなぁ~。

→ その2 グリップ作りへ

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